大塚ひかり -OOTSUKA, Hikari

感情を出せない源氏の人びと

大塚ひかり・著 毎日新聞社 2000

副題は「日本人の感情表現の歴史」。内容は一応タイトル通り。記紀神話から平家物語までの日本古典文学における感情表現に注目して、その流れを追うスタイル。後書きによれば、「平安期」と「現代」は身体・感情が抑圧された特異な風潮が似ているとしている。

源氏物語の登場人物の事だけ書いている訳ではないのよね。源氏以前・源氏以後の色々な物語の話もしてくれます。筆者が若いので、それだけでも私なんかは嬉しいです。堅苦しくないしね。唯、読んでいる時は面白かったんだけども、いざ説明しようと思うとよく分かりません。散らかっていると云うか、駆け足と云うか。「ん?だから何が言いたいの?」と云う感じ。私の集中力が無さが一番の原因だろうが、「うんうん、なるほど」って云いながら読めちゃうんだけど、結構読み手に知識を要求しているのかな。しかも、再読しようと云う気にならない…。面白かったけどね。

個人的な感想としては、本書は全然読む価値は無い。更に個人的な感想を云えば、著者に対して非常に好感が持てるので、出来れば誉めたいのだが……

現代と平安期の類似性はそれほど独創的とは思われないが、身体論に絡めた点が面白いだろうか?