池田弥三郎 -IKEDA, Yasaburou

光源氏の一生

池田弥三郎・著 講談社現代新書 1964年

「光源氏の一生」という筋道に、源氏物語の内容を再編成したもの。

「桐壺」と「幻」に同じような歌が出ているとか、「光源氏」も「髭黒の大将」も「尚侍」に対して同じような事をしたのに、光源氏だけ須磨に行ったのは何故か?とか「物の怪」の事など、「なるほど」と思うことがたくさん書いてある。

分厚い本とか読めば、そっちに詳しく書いてあるんだろうけど、池田先生が「この本によって現代語訳でもよいから源氏物語を読んでくだされば、大変結構」と仰っている。つまり素人向け。だからかどうかは知らんが、言葉がやさしいし、古文単語も親切な説明付き。歌も、歌の形を壊すことなく意味が分るようになっているし(勿論訳付き)、余計な説明がないから、読んだ分はすぐ理解出来る。

ただ、あくまでも池田先生の解釈であって(定説だったらごめんなさい)、 他の解釈もあるから、鵜呑みにしないで色々読むとよいと思う。通読するのに1時間位だし、読んでいて気持ちのよい本なので、おすすめ。

幸福は出来合いじゃだめだ、あつらえでなければね。

アンドレ=ジッド